2026-10

F1最多タイトル、そしてル・マン3連覇──フェラーリが「レースをやめられない」本当の理由

フェラーリにとって、レースは宣伝活動ではない。むしろ順序が逆だ。レースをするためにフェラーリという自動車メーカーが存在している。創業者エンツォ・フェラーリは、もともとレーシングドライバーであり、スクーデリア・フェラーリもロードカー会社より先に誕生している。そしてF1では世界選手権開始初期から参戦を続け、2026年現在も唯一、1950年からすべてのシーズンに参加しているチームだ。コンストラクターズタイトル16回、ドライバーズタイトル15回はいずれも歴史的な最多記録である。耐久レースでも、長い空白を経てトップカテゴリーへ帰還した499Pがル・マン24時間を2023、2024、2025年と3連覇。さらに2025年にはFIA世界耐久選手権(WEC)のマニュファクチャラーズ世界タイトルまで獲得した。赤いボディが特別なのではない。勝利によって、赤という色そのものを特別にしてしまった。それがフェラーリである。最初のF1勝利──倒した相手はアルファロメオだったフェラーリがF1世界選手権で初勝利を挙げた舞台はシルバーストン。ホセ・フロイラン・ゴンザレスがFerrari375を駆り、強大なアルファロメオ勢...

「エンジンこそクルマの心臓」──フェラーリを世界最高峰へ押し上げた開発秘話

美しいボディを作るだけなら、フェラーリはここまで特別な存在にはならなかった。速いクルマを作るだけでも同じだ。マラネロという小さな街から生まれたメーカーが世界中のクルマ好きを魅了してきた理由は、もっと根深いところにある。創業者エンツォ・フェラーリが何より重視したのは、エンジンだった。最初のフェラーリからV12。レースで勝つために市販車を作り、市販車で得た資金を再びレースへ投入する。250GTO、F40、Enzo、LaFerrari──時代を代表するモデルを追っていくと、フェラーリの開発思想には一本の太い線が見えてくる。「まず速くなければならない。そして、速さそのものが美しくなければならない」そんな狂気にも似た哲学だ。最初のフェラーリは、いきなりV12だったフェラーリ最初の一台は125S。エンツォ・フェラーリは1945年半ば、ジョアッキーノ・コロンボに新型車の設計を依頼した。目標の一つは、エンツォ自身がかつて深く関わったアルファロメオを打ち破ることだった。そしてエンジン形式として選ばれたのが、V型12気筒。しかも排気量はわずか1,496.77ccだった。「125」という車名は1気筒あたりの...

アウディは海外でどう評価されている?──quattroとRSが築いた「知的な速さ」という独自の世界

速さを派手に見せつけるのではなく、雨が降ろうが雪が積もろうが、何事もなかったかのように猛烈なペースで走り去る。そんな“涼しい顔をした速さ”こそ、海外で語られるアウディの魅力だ。BMWには後輪駆動を軸にしたドライバーズカーの伝統があり、メルセデス・ベンツには高級車としての重厚なイメージがある。ではアウディは何なのか。その答えとして浮かび上がるのが、quattro、技術、インテリア、そして全天候型の高速性能。海外メディアの評価を追っていくと、アウディは「最も刺激的なクルマ」として常に評価されているわけではない。むしろ面白いのは、“恐ろしく有能であること”そのものが個性になっていることだ。アウディの評価を変えた「quattro」現在のアウディを理解するうえで、永久四輪駆動システム「quattro」を外すことはできない。初代Audiquattroが登場した当時、高性能車と4WDの組み合わせは現在ほど一般的ではなかった。ところがアウディは、その有効性を世界ラリー選手権で実証する。1982年にマニュファクチャラーズタイトル、1983年にはハンヌ・ミッコラがドライバーズタイトルを獲得。1984年には...

アウディは海外で何と呼ばれる?──「Four Rings」に込められた4社の歴史と、マニアが使う“Ur-quattro”

「BMW=Bimmer」のように、アウディにも世界共通の有名な愛称があるのだろうか。答えは少し複雑だ。英語圏でもブランド名そのものは基本的に「Audi」と呼ばれており、BMWのBimmerほど広く定着したブランド全体のニックネームがあるわけではない。しかし、海外のアウディ関連記事を読み込んでいくと、実に面白い表現が登場する。FourRings。Ur-quattro。SilverArrows。そして歴史をさらに遡れば、AutoUnion。これらは単なる愛称ではない。アウディというメーカーがどこから来て、どんな技術で世界へ名前を刻んだのか。その歴史そのものが凝縮された呼び名なのである。「FourRings」──海外でアウディを象徴する言葉海外のアウディ公式記事で頻繁に登場する表現が、FourRingsだ。直訳すれば「4つの輪」。つまり、あのアウディのエンブレムを指している。アウディ公式資料でも、ブランドや企業そのものを象徴する表現として「theFourRings」が繰り返し使われている。この4つのリングは単なるデザインではない。1932年、ドイツ・ザクセン地方を拠点としていた4社が統合して...