トリビア

BMWはなぜ“駆けぬける歓び”を証明できたのか──レースが鍛え上げたBMWの栄光の歴史

「BMWはレースで強い。」そう聞いて真っ先に思い浮かぶのは、M3、ツーリングカー、ニュルブルクリンク、あるいはF1かもしれない。しかしBMWのモータースポーツ史は、単にタイトルの数を競うだけでは語れない。同社は勝つためだけにレースへ参戦してきたメーカーではなく、レースで得た技術を市販車へ惜しみなく還元することでブランド価値を築いてきた数少ない存在である。直列6気筒の滑らかなフィーリング、高回転型エンジン、理想的な重量配分、優れたシャシーバランス。BMWらしさと呼ばれる要素の多くは、サーキットという極限環境で磨かれてきた。今回はBMWが歩んできたレースの歴史を振り返りながら、ブランドを象徴する数々の勝利と、その裏側にあった開発思想を紹介していこう。戦後BMWを世界へ押し上げたツーリングカーレースBMWが世界的なスポーツブランドとして存在感を高めた舞台は、ツーリングカーレースだった。当時のツーリングカーは、市販車をベースにしたマシンで争われるカテゴリーであり、「日曜日に勝ったクルマを月曜日に買える」という考え方が色濃く残っていた。BMWにとって、これは最高の宣伝の場でもあった。2002シリ...

BMW M1開発秘話――イタリアで生まれ、ドイツが救い出した「最初のM」

BMWと聞いて、多くの人が思い浮かべるのはフロントエンジン、後輪駆動、そしてシルキーシックスだろう。だが、その王道から大胆にはみ出したBMWが一台だけ存在する。低いウェッジシェイプ。運転席の背後に置かれた直列6気筒エンジン。鋼管スペースフレームにFRP製ボディ。そして、ドイツ車でありながら開発の重要部分をイタリアに託した異色の成り立ち。BMWM1、開発コードE26。現在ではBMWMの始祖として神格化されているが、その誕生過程は決して華やかな成功物語ではない。むしろ、提携先の経営不安、複雑すぎる生産工程、レギュレーション変更、ホモロゲーション取得の遅れという逆風が連続する、綱渡りのプロジェクトだった。それでもBMWは、途中でこのクルマを見捨てなかった。M1とは、速さだけでなく「完成させる執念」によって伝説になったスポーツカーなのである。すべてはポルシェを追うために始まったM1計画を強く推進した人物が、当時BMWMotorsportGmbHを率いていたヨッヘン・ニーアパッシュである。彼が狙っていたのは、既存の市販車を改造したレーシングカーではなかった。レースで勝つための専用車を最初から設計...

BMW開発秘話|“走りの快感”をブランドの中心に置いた、バイエルンの反骨精神

BMWというブランドを語るとき、ただ「高級なドイツ車」と表現するだけでは足りません。このメーカーの本質は、もっとクルマ好きの心臓に近いところにあります。それは、運転する人間を主役にするクルマ作りです。ステアリングを切った瞬間のノーズの入り方。アクセルを踏み込んだときのエンジンの伸び。FRらしい後輪から押し出される感覚。そして、直列6気筒が高回転まで滑らかに回るあの独特の気持ちよさ。BMWの開発秘話は、単なる技術の歴史ではありません。“移動するための機械”を、“走りたくなる機械”へ変えていった物語です。BMWの正式名称はBayerischeMotorenWerkeAG。英語では“BavarianMotorWorks”と訳される、ドイツ・バイエルン州ミュンヘンを拠点とするメーカーです。BMWの歴史は1916年までさかのぼり、当初は航空機エンジンとの関わりが深い企業として始まりました。BMWの原点は「空を飛ぶエンジン」だったBMWというと、多くの人は3シリーズ、M3、M5、直列6気筒、FRセダンを思い浮かべるかもしれません。しかし、ブランドのルーツをたどると、最初に見えてくるのはクルマではな...

BMWのレース実績|“駆けぬける歓び”をサーキットで証明した、バイエルンの勝利史

BMWのレース実績を語るなら、単に「M3が強かった」「F1にも出ていた」で終わらせるのはもったいないです。このブランドの本質は、市販車の走りの気持ちよさを、レースで本気の武器に変えてきたことにあります。BMWはツーリングカー、耐久レース、F1、GT、二輪レースまで、幅広いカテゴリーで存在感を残してきました。英語版Wikipediaでも、BMWはツーリングカー、スポーツカー、マン島TTなどで重要なモータースポーツ史を持つメーカーとして紹介されています。そしてその中心にあるのが、BMWM。BMWMは1972年にBMWMotorsportGmbHとして設立され、もともとはBMWのレース活動を支えるための部門でした。現在のMモデルが「ただの高性能グレード」ではなく、レース由来の血筋を持つ理由はここにあります。BMWMの原点は、3.0CSLという“翼を持ったクーペ”BMWのレース実績を語るうえで、最初に外せないのがBMW3.0CSLです。BMWMの最初期のレーシングプロジェクトは3.0CSLでした。英語版Wikipediaでも、BMWM設立後の最初のレーシングプロジェクトとして3.0CSLが挙げ...

BMWは海外で何と呼ばれているのか|“Bimmer”に宿る、走り屋たちの合言葉

BMWは、海外でも基本的にはそのままBMWと呼ばれます。しかし、クルマ好き同士の会話では、もっと親しみのある呼び名があります。BimmerBeemerBeamerMcarBavarianTheUltimateDrivingMachineこの呼び名の違いを知ると、BMWというブランドが単なる高級車メーカーではなく、“走り”を文化にしたメーカーだと見えてきます。BMWは、正式にはBayerischeMotorenWerke、英語ではBavarianMotorWorksと訳されるドイツ・バイエルン州由来のブランドです。英語版Wikipediaでも、BMWはドイツ・ミュンヘンに本社を置く自動車・二輪車メーカーで、社名はBayerischeMotorenWerkeAGであると説明されています。海外で最も正しい愛称は「Bimmer」BMW車を海外のクルマ好きが呼ぶとき、もっとも定番なのがBimmerです。日本では「ビーエム」「BMW」と呼ぶことが多いですが、英語圏のマニア同士では「myBimmer」「oldBimmer」「E46Bimmer」のように使われます。ここで面白いのが、Bimmerは本来...

メルセデス・ベンツ開発秘話|“自動車を発明したブランド”が、なぜ今も特別なのか

メルセデス・ベンツを語るとき、ただの高級車ブランドとして扱うのは少し浅いです。なぜならこのブランドは、単にクルマを売ってきたメーカーではなく、自動車そのものの始まりに立っていた存在だからです。1886年、カール・ベンツが特許を取得したBenzPatent-Motorwagenは、一般的に世界初の実用的なガソリン自動車として知られています。英語版Wikipediaでも、BenzPatent-Motorwagenは1885年に製作され、1886年に特許を取得した世界初の自動車として紹介されています。そして現在のMercedes-Benzという名前は、Benz、Daimler、Mercedesという複数の物語が重なって生まれました。つまりメルセデス・ベンツの開発秘話とは、エンジンで走る乗り物を作った男たちと、それを世界的ブランドへ育てた人々の物語なのです。すべては1886年の三輪車から始まったメルセデス・ベンツの原点は、カール・ベンツが作ったBenzPatent-Motorwagenです。現代のSクラスやAMGGTを見慣れた目で見ると、三輪のPatent-Motorwagenは頼りなく見える...

メルセデス・ベンツは海外で何と呼ばれているのか|“Mercedes”“Benz”“AMG”に宿る、世界最古級ブランドの記憶

メルセデス・ベンツは、海外でも正式にはMercedes-Benzと呼ばれます。しかし実際のクルマ好き同士の会話では、もっと短く、もっと濃い呼び方が飛び交います。MercedesBenzMercAMGMaybachSilverArrowsこの呼び名の違いを知ると、メルセデス・ベンツというブランドが単なる高級車メーカーではなく、自動車そのものの歴史を背負った存在だと分かります。英語版Wikipediaでも、Mercedes-Benzは一般的に「Mercedes」と呼ばれ、時に「Benz」とも呼ばれるドイツの自動車ブランドだと説明されています。さらにブランドのルーツは、1886年のBenzPatent-Motorwagen、そしてDaimlerとMaybachによるガソリンエンジン車の開発にまでさかのぼります。海外で最も一般的な呼び名は「Mercedes」海外で一番よく使われる呼び方は、やはりMercedesです。日本では「ベンツ」と呼ぶ人が多いですが、英語圏では「Mercedes」と呼ぶのがかなり一般的です。たとえば会話では、「IdriveaMercedes.」「That’saclassi...

メルセデス・ベンツのレース実績|“銀の矢”が世界のサーキットに刻んだ、勝利と沈黙の歴史

メルセデス・ベンツのレース実績を語るとき、単に「F1で強いメーカー」とまとめてしまうのは、あまりにも惜しいです。このブランドのモータースポーツ史には、グランプリ黎明期の伝説、ル・マンでの栄光と悲劇、F1での圧倒的支配、DTMでの殴り合い、そして現代GT3での耐久レースまで、クルマ好きの心を震わせる物語が詰まっています。その象徴が、SilverArrows=銀の矢です。英語版Wikipediaでは、SilverArrowsは1930年代のメルセデス・ベンツとアウトウニオンのグランプリマシンに広く使われた呼び名で、のちに1950年代のメルセデスF1/スポーツカー、現代のメルセデスAMGF1にも受け継がれた呼称と説明されています。メルセデスのレース史とは、速さだけの話ではありません。勝利、技術、誇り、そして一度はサーキットを離れた沈黙まで含めた、重厚な物語なのです。1930年代、“銀の矢”がグランプリを支配したメルセデス・ベンツのレース伝説は、戦前のグランプリ時代から始まります。1930年代、メルセデス・ベンツのグランプリマシンは、アウトウニオンとともにヨーロッパのレースシーンを席巻しました...

アウディは海外で何と呼ばれているのか|“Audi”に隠された語源と、4つの輪が語るブランドの正体

アウディという名前は、海外でもそのままAudiと呼ばれます。しかし、この短い5文字には、ただのブランド名以上の物語が詰まっています。アウディはドイツ車でありながら、名前の由来はラテン語。エンブレムは4つの輪。高性能モデルはSやRS、ワゴンはAvant、4WDはquattro。つまり海外でアウディを語るとき、単に「Audi」と呼ぶだけでは足りません。クルマ好きが本当に反応するのは、Audi、FourRings、quattro、RS、Avantといった呼び名の奥にある、技術と歴史の匂いです。英語版Wikipediaでも、Audiという社名は創業者AugustHorchの姓に由来し、Horchがドイツ語で「listen=聞け」を意味し、それをラテン語化したものがAudiだと説明されています。さらに、4つのリングはAudi、DKW、Horch、Wandererの4社が統合してAutoUnionを作った歴史を表しています。Audiという名前は、創業者の“聞け”から生まれたアウディの名前の由来は、かなり粋です。創業者はAugustHorch。もともとHorchという自動車会社を立ち上げた人物ですが...