■序章:世界は、BMWを“ただのメーカー”として見ていない
BMWには、公式ネームとは別に、国や文化ごとに多くの“呼び名”が存在する。
それは、走りの個性があまりに際立ちすぎて、ファンが“どうしても名付けずにはいられなかった”証拠だ。
直6サウンド、FRの切れ味、Mが宿す武骨な哲学。
こうしたBMWの強烈なキャラクターは、世界中で特別な響きを持つ呼び名として刻まれてきた。
本記事では、海外Wikipediaの記述(※参考URL)をもとに、世界のBMW愛が凝縮された呼称と逸話をまとめる。
※参照:https://en.wikipedia.org/wiki/BMW
クルマ好きの魂をくすぐる、“BMWに名付けられた物語”を追っていこう。

■第1章:The Ultimate Driving Machine──
“走りの哲学”そのものを示すアメリカの呼び名
アメリカ市場には、BMWの代名詞とも呼べるキャッチコピーがある。
それが “The Ultimate Driving Machine(究極のドライビングマシン)”。
BMWのアメリカ向けマーケティングキャンペーンとして1970年代から使用
https://en.wikipedia.org/wiki/BMW#Marketing
もはや広告コピーの域を超えて、呼び名として定着した。
●アメリカ人は“運転そのもの”を愛する
広大なハイウェイ文化の中で、BMWの走りの質──特に「直6×FR」の組み合わせは圧倒的な支持を得た。
その結果、このコピーは “BMWの人格を表す言葉” として世界へ広がった。
●おもしろエピソード:他メーカーが嫉妬したフレーズ
実はこのコピー、あまりに完成度が高く、他メーカーが似た表現を使うことを躊躇したほど。
それほどBMW=走りという印象が強烈だった。
■第2章:Beemer/Bimmer──
北米だけで“二分化”した謎の呼び名
アメリカとカナダでは、BMWは 「Beemer(ビーマー)」 や 「Bimmer(ビマー)」 と呼ばれている。
北米ではオートバイBMWをBeemer、自動車BMWをBimmerと区別
https://en.wikipedia.org/wiki/BMW#Nickname
●語源はバイクにある?
実はこの呼び名、BMWのオートバイレースの歴史が深く関与している。
BMWは1920年代からバイクレースで強く、そこから “Beemer” が誕生したと言われる。
その後、四輪BMWに乗る若いファンが、
「バイクと同じ呼び名は違う」
と主張し、“Bimmer” を作ったという説が有力だ。
●マニアしか知らない裏話
1970年代の北米カー雑誌『Roundel Magazine』にて、編集部がこの区別を推奨したことから一般化したとも言われる。
北米のBMWコミュニティは非常に濃く、
“所有者が呼び名文化を作ってきた”点がユニークである。
■第3章:Bayerische(バイエリッシェ)──
ヨーロッパでは姓のように呼ばれる“敬称”
BMWの正式名称は
Bayerische Motoren Werke(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ)。
欧州、特にドイツ語圏では、BMWを単に 「Bayerische(バイエリッシェ)」 と呼ぶことがある。
ドイツ語圏では略称として口語的に使われる
https://en.wikipedia.org/wiki/BMW#Brand
●なぜ「BMW」ではなく「Bayerische」?
ドイツでは、メーカーそのものではなく “ブランドの血統” を重視するため、
“バイエルンの会社” というルーツに敬意を込めてこう呼ぶ。
●エモい背景
BMWは戦後再建期に、多くのドイツ人が「国の誇り」と捉えていた。
そのため、BMWを 「バイエルンの息子たち」 と呼ぶ古いファンもいる。
■第4章:M(エム)──
車名ではなく“精神そのもの”を指す呼び名
海外Wikipediaでも強調されるが、
BMWの“M(Motorsport)”は、単なるグレード記号ではない。
BMW Mはモータースポーツ部門として設立
https://en.wikipedia.org/wiki/BMW_M
ファンはMモデルを 「M」 とだけ呼ぶことが多い。
●“あれは何だ? Mだ。”
北米ではこんな会話がよくある。
「車種は?」
「いや、Mだよ。」
つまり Mが固有名詞として成立している のだ。
●E46 M3には“God’s Chassis”という異名まで
E46 M3のシャシー剛性・運動性能の高さから、海外フォーラムでは
“God’s Chassis(神のシャシー)”
と呼ばれたことがある。
BMWの呼び名は、しばしば車種という枠を超え、哲学を指してしまう。
■第5章:Shark(シャーク)──
旧世代BMWを象徴する“サメ”の美学
海外愛好家の間で、E24・E28・E34などは “Shark(シャーク)” と呼ばれている。
根拠は、前傾したノーズと鋭いヘッドライトライン。
●「BMWはサメのように道路を切り裂く」
という比喩がアメリカやヨーロッパで広まり、
旧世代のBMWを総称して Shark Nose(サメ顔) と言う文化ができた。
クラシックBMWファンの“美学”が生んだ最も詩的な呼び名である。
■第6章:トリビア集──マニアが語りたくなる呼び名の裏話
●① 南アフリカ限定の呼び名:“Gusheshe(グシェシェ)”
E30 325isの現地スラング。
「速くてカッコいいもの」をまとめて“Gusheshe”と呼ぶ文化がある。
●② BMWはロシアで“Бумер(ブーメル)”
この呼び名は映画『Bimmer(2003)』の影響で一気に広まった。
●③ イギリスではE39 M5を“Q-car”と呼ぶ
“見た目は普通、実はとんでもなく速い車”という意味の英国スラング。
●④ BMWのSUVは北米で“Bimmers on stilts(脚立の上のビマー)”
車高だけ高くても走りはBMWそのもの、という皮肉混じりの愛称。
■FAQ(読者がよく抱く疑問)
●Q. BMWにはどうして多くの呼び名があるの?
A. 地域ごとにファン文化が濃く、車の個性が強いため自然とニックネームが生まれた。
●Q. Beemer と Bimmer の違いは?
A. 北米ではバイクが Beemer、車が Bimmer。Wikipediaにも明記されている。
●Q. BMWで最も有名な愛称は?
A. “The Ultimate Driving Machine”“Bimmer”“Shark”が代表格。
●Q. BMWの呼び名は公式なの?
A. ほとんどがファンコミュニティ由来で、文化として定着したもの。
■まとめ:呼び名は“BMWという存在が人の心を動かした証”
世界に無数のメーカーがある中で、BMWほど多くのニックネームを持つ車は珍しい。
それは、BMWが単なる移動手段ではなく、
「人が感情を投影せずにはいられない存在」
であり続けてきた証だ。
直6サウンドに胸を焦がした若者たちが、いつしかBMWに名前をつけ、
その呼び名が文化となり、歴史になった。
BMWとは、世界が愛し、世界が語り継いだ“走る物語”である。
💡関連動画💡








