はじめに
フォルクスワーゲン(Volkswagen)は直訳すると「国民の車」。その名が示す通り、世界各国で人々の生活と深く結びついてきました。けれども、ただ「フォルクスワーゲン」として知られるのではなく、国や地域ごとに異なる呼び名や愛称が生まれ、時代を超えて愛され続けています。
ここでは海外Wikipediaを参照しながら、クルマ好きの30〜50代の心をくすぐるマニアックなトリビアや逸話を交えて、VWの海外での呼び名とその背景を10,000文字規模で徹底的にひも解きます。
1. “Beetle”と“Bug”――アメリカが生んだ虫の名
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丸く愛嬌のある造形から「Beetle(カブトムシ)」と呼ばれるようになり、やがて公式名称に。
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アメリカではさらにカジュアルに「Bug(バグ)」と愛称が定着。
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1959年の伝説的な広告キャンペーン「Think small.」が、この呼び名を親しみの象徴に変えた。
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子供たちは“Punch Buggy”ゲームを遊び、ビートルは単なるクルマを超えてカルチャーの一部となった。
2. “Käfer(ケーファー)”――本国ドイツでの呼び名
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ドイツ語で「甲虫」を意味するKäfer。
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戦後復興期、新聞広告に「Käfer kommt zurück(カブトムシが帰ってきた)」と大きく出たことが浸透の契機。
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本国の広告は質実剛健さを訴求し、アメリカのユーモラスな“Bug”キャンペーンと好対照だった。
3. “Vocho(ボチョ)”――メキシコの街を走ったタクシー
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1950年代に生産が始まり、長年タクシーとして愛用された。
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緑と白のビートルタクシーはメキシコシティの象徴。
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住民は「この坂を登れるのはボチョだけ」と語り、生活の一部に。
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2012年の二ドア車規制で姿を消したが、今も「ボチョの日」などのイベントが開かれる。
4. “Fusca(フスカ)”――ブラジル人の心の友
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ポルトガル語訛りで「Volks」が「Fusca」に変化。
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再生産を求める国民運動が政治を動かし、1990年代に一時復活したほど。
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愛称「Fusquinha(小さなフスカ)」でさらに親しみを込められる。
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今もブラジル各地でフスカクラブが集会を開き、家族の記憶を共有している。
5. “Kombi(コンビ)”――人も荷物も運ぶ相棒
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タイプ2トランスポーターは“コンビネーション車”の意味から「Kombi」と呼ばれる。
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ブラジルでは2013年に生産終了。その際に「Last Wishes(最後の遺言)」キャンペーンが展開され、オーナーの思い出がCMに登場。
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サーファーやヒッピーカルチャーと結びつき、自由の象徴に。
6. “Rabbit(ラビット)”――アメリカ市場戦略
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初代ゴルフは北米では「Rabbit(ウサギ)」の名前で販売。
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親しみやすさを狙ったが、結局ゴルフに回帰。
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1970年代の広告にはウサギのロゴが使われ、可愛らしさと俊敏さを重ねた。
7. “ホットハッチの元祖”――GTIの異名
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1976年登場のゴルフGTIは英国『Autocar』誌で「the first true Hot Hatch」と称される。
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以降、GTI=ホットハッチの代名詞に。
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オーナーたちは「実用車なのに心臓はスポーツカー」と語り、若者の文化的アイコンに。
8. “Das Auto.”――シンプルすぎる自信
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2007年のグローバルスローガン。「The Car」と訳され、VW=クルマの代名詞を意味した。
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しかし2015年、排ガス不正問題を機にスローガンを撤去。
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あまりに自信に満ちすぎていた言葉が、逆に批判の象徴となった。
9. そのほかの呼び名たち
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“パンツァーワーゲン”:堅牢さからドイツや欧州で使われた揶揄混じりの異名。
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“タクシーキング”:Eクラスがタクシーとして君臨した中東・ドイツでの通称。
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“ピープルズカー(People’s Car)”:原点を示す直訳であり、広告や記事タイトルで繰り返し使われた。
まとめ
フォルクスワーゲンは、ただのブランド名ではなく、**国ごとの文化や歴史の文脈に染み込んだ“呼び名”**を持つ稀有な存在です。
“Bug”や“Vocho”を口にするだけで、人々は青春や家族との思い出を思い出す。
広告のコピー、新聞の見出し、そしてオーナーの口から紡がれた言葉が、VWの車たちを単なる工業製品から“人生の物語”に変えました。
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