- はじめに
- 1. 「プロジェクト 35 PS」の原点
- 2. 初のV型エンジン搭載――「S 6/25 PS」
- 3. 「ダイムラー・メルセデス」誕生のドラマ
- 4. 空力美学の先駆――「S SKL SLルーフ」
- 5. 戦後復興の象徴――「300 SL Gullwing」
- 6. 量産最速への挑戦――「300 SL Roadster」
- 7. 初の安全技術――「パンハードロッド式サスペンション」
- 8. 直列12気筒の系譜――「600シリーズ」
- 9. F1技術の市販車応用――「C 111実験車」
- 10. 現代セダンの礎――「Sクラス W116」
- 11. デザイナーズエディション――「R129 SL 500 SPORTLINE」
- 12. エアバッグの常識化――「S RS 600」
- 13. モジュラー戦略の始まり――「MRAプラットフォーム」
- 14. AMG伝承――「55 AMGエンジンの野望」
- 15. 電動化の最前線――「EQC試作車の氷雪テスト」
- 16. デジタルコックピット革命――「MBUX誕生秘話」
- 17. 軽量化への飽くなき挑戦――「EQSのアルミ&カーボン」
- 18. 次世代EVシャシー――「EVAプラットフォーム計画」
- 19. 自動運転技術の実証――「Drive Pilot実験車」
- 20. 新世代安全技術――「PRE-SAFE 360°」
- 21. F1ノウハウの応用――「カーボンセラミックブレーキ」
- 22. 生産革命――「工場のデジタルトランスフォーメーション」
- 23. サステナビリティの旗手――「パワーツリー構想」
- 24. ユーザー主導テスト――「Beta Program」
- 25. カスタムビルド革命――「Designoプログラム」
- 26. 軍用技術の平和利用――「G クラス誕生秘話」
- 27. 社内競争が生んだ奇跡――「AMG vs ブランズハッチ」
- 28. コネクテッドカーの先駆――「Mercedes-Benz Companion App」
- 29. 世界最速EV――「EQXXプロトタイプ」
- 30. 次世代プラグインハイブリッド――「C Class PHEV開発秘話」
- おわりに
はじめに
「最良か、何もなし(The Best or Nothing)」――その企業理念を胸に、メルセデス・ベンツは自動車の歴史を革新と情熱で塗り替えてきました。本稿では、海外Wikipediaなど信頼性の高いソースをもとに、30~50代のクルマ好きの心を震わせる開発秘話を厳選。エモーショナルなトリビアと逸話を織り交ぜながら、メルセデスが幾多の困難を突破して生み出した名車の裏舞台を紐解きます。
1. 「プロジェクト 35 PS」の原点
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1902年、世界初の量産ガソリン車「35 PS(1号モデル)」開発開始。
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カール・ベンツ自身が自宅ガレージで溶接から焼き付け塗装まで担当し、“マイデスクトップ”で生み出した逸品。
2. 初のV型エンジン搭載――「S 6/25 PS」
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1905年に登場したV型6気筒エンジンは、後のAMG V6の原点とも言われる。
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バルブ配置や点火タイミングを手探りで煮詰めた試作は、真夜中まで続く熱い議論の連続だった。
3. 「ダイムラー・メルセデス」誕生のドラマ
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1926年、ダイムラー社とベンツ社の合併により誕生。
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社名統一の会議では、創業者一族の確執が壁となり、最終合意まで半年を要したという人間ドラマ。
4. 空力美学の先駆――「S SKL SLルーフ」
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1931年、流線型ボディを採用した500 K Special Roadsterで、当時としては異例のCd値0.45を達成。
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フォン・カールシュタイン卿の協力で風洞実験を実施し、空力チューニングの基礎を築いた。
5. 戦後復興の象徴――「300 SL Gullwing」
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1954年登場の300 SLは、ドアが跳ね上がるガルウィングドアを採用。
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当時最新のパイプフレームシャシーを開発し、軽量化と剛性向上を同時に実現。
6. 量産最速への挑戦――「300 SL Roadster」
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ガルウィングの限定性を解消すべく、翌1957年にロードスターを追加。
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ツーリング性能を重視しながら、0–100km/h加速8.8秒という当時東西ドイツ最速の座を獲得。
7. 初の安全技術――「パンハードロッド式サスペンション」
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1950年代末、リアにパンハードロッドを採用し、横荷重時の追従性を飛躍的に改善。
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トラック製造で培った技術を乗用車へフィードバックした先見性。
8. 直列12気筒の系譜――「600シリーズ」
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1963年登場の600は、独自開発の6.3L V8から始まるラグジュアリーセダン。
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電動ドア機構やエアサスペンションなど、当時のベルンハルト・ホフマン博士主導による“技術の塊”。
9. F1技術の市販車応用――「C 111実験車」
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1969年からGAエンジン、ロータリー、ディーゼル、ターボなど多彩な動力実験を推進。
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C 111-IのWankelロータリーエンジンから得た旋回特性知見が後のSLワイドボディへ流用。
10. 現代セダンの礎――「Sクラス W116」
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1972年に登場した初代Sクラスで、世界初のアンチロックブレーキ(ABS)を市販化。
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ライバル不在の圧倒的な安全装備が「走る応接室」という称号を生んだ。
11. デザイナーズエディション――「R129 SL 500 SPORTLINE」
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1991年登場のR129で、Aldo Costa率いるチームが開発。
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リアサスペンションをロードスター専用にチューンし、オープンでも高剛性を実現。
12. エアバッグの常識化――「S RS 600」
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1996年、世界初のサイドエアバッグをS クラスに搭載。
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単なる「クッション」で終わらせず、温度センサー連動で最適展開を追求。
13. モジュラー戦略の始まり――「MRAプラットフォーム」
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2013年導入のMRA(Modular Rear Architecture)は、後輪駆動車の開発期間を30%短縮。
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これによりC、E、Sクラスなど幅広いセグメントに技術を横展開。
14. AMG伝承――「55 AMGエンジンの野望」
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1998年、初代SL 55 AMG用5.5L V8をメルセデス技術陣が共同開発。
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AMGとの協業が純正ハイパフォーマンスモデルの礎を築き、今なお続く血脈へ。
15. 電動化の最前線――「EQC試作車の氷雪テスト」
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2018年、ノルウェー・トロムソで-30℃環境を想定したバッテリーテスト。
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高容量バッテリーの熱管理に試行錯誤し、ロードインフラとの連携を視野に入れた開発が始動。
16. デジタルコックピット革命――「MBUX誕生秘話」
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2018年導入のMBUXは、ユーザーの会話を自然言語処理で理解する初の市販システム。
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開発チームはLas Vegas CESでの先行デモを成功させ、量産化を加速。
17. 軽量化への飽くなき挑戦――「EQSのアルミ&カーボン」
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2021年、EQSはボディにアルミ合金とカーボン複合材を併用。
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3Dプリント部品をインテリアに採用しつつ、剛性と軽量化を同時達成。
18. 次世代EVシャシー――「EVAプラットフォーム計画」
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EQSの成功を受け、EVA(Emotional Architecture)として専用プラットフォームを開発。
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モーター軸配置の最適化と床下バッテリー配置により、圧倒的な低重心化を実現。
19. 自動運転技術の実証――「Drive Pilot実験車」
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2022年、ドイツで条件付き自動運転(Level 3)を承認。
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S クラスベースの試作車が高速道路でノンストップ走行を完遂し、世界初の公道実装へ。
20. 新世代安全技術――「PRE-SAFE 360°」
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2015年導入のPRE-SAFE 360°は、左右後方の衝突予測も可能に。
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「すべてを先読みする」姿勢が、メルセデス流安全哲学の究極形。
21. F1ノウハウの応用――「カーボンセラミックブレーキ」
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2003年、SL C LR(F1ショーカー)の実験で得た知見を、市販車初のカーボンセラミックに落とし込む。
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熱容量と耐フェード性能が大幅向上し、AMG GTやS LSでも標準装備に。
22. 生産革命――「工場のデジタルトランスフォーメーション」
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ドイツ本社のSindelfingen工場で、ARグラスを用いた作業支援を試験導入。
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熟練工の技能を可視化し、新人教育時間を半減した先進事例。
23. サステナビリティの旗手――「パワーツリー構想」
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北欧で木質バイオプラスチックを開発中。
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内装部品の一部を木材由来複合材に置換し、2030年までに全モデルのCO₂排出量を半減。
24. ユーザー主導テスト――「Beta Program」
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MBUXやCar-to-X通信など、新機能をユーザーに先行公開してフィードバック収集。
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リアルワールドデータを迅速に製品化へ反映する仕組みが生まれる。
25. カスタムビルド革命――「Designoプログラム」
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200 色以上の専用塗装と、職人手縫いのインテリアオプション。
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顧客要望を超える“世界で一台”を創るため、専属デザインチームがリレー方式で開発。
26. 軍用技術の平和利用――「G クラス誕生秘話」
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1979年、オーストリアの軍用車「ゲレンデバーゲン」をSUV市販化。
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フレーム構造と堅牢サスペンションがアウトドア文化を牽引。
27. 社内競争が生んだ奇跡――「AMG vs ブランズハッチ」
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1990年代、DTMマシンの開発競争でAMGとワークス陣営が凌ぎを削り、量産モデルにも好影響。
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両者の技術交換が後のC 63 AMG誕生を後押し。
28. コネクテッドカーの先駆――「Mercedes-Benz Companion App」
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2011年に初公開し、遠隔機能や車両状態モニタリングを実装。
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他社に先駆けてOTA更新を試験し、信頼性と利便性を両立。
29. 世界最速EV――「EQXXプロトタイプ」
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2022年、試作車で1回の充電走行距離1,000km超を達成。
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空力最適化と省電力技術の結晶が、次世代EVの基準を打ち立てる。
30. 次世代プラグインハイブリッド――「C Class PHEV開発秘話」
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2023年登場のC 300eは、減速エネルギー回生の最適化マップをローカルAIが制御。
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通勤走行データを匿名収集し、アップデートで効率を継続改善する仕組みを採用。
おわりに
メルセデス・ベンツ開発陣が100年以上にわたり紡いできた情熱と叡智。その背後には、技術的挑戦と人間ドラマが詰まっています。本稿で紹介した30選の開発秘話を心に刻み、次回、エンブレムが輝く一台と出会ったら、その歴史と革新の痕跡をじっくり感じ取ってみてください。
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