🚗 プロローグ:「ワーゲン」から始まる物語
フォルクスワーゲン。
ドイツ語で「Volks(国民)」+「Wagen(車)」、つまり“国民の車”。
この言葉が示すのは、単なる移動手段ではなく、暮らしの中に溶け込む信頼性と、時に人生を変えるほどの思い出を運ぶ存在だということ。
そして世界中の人々は、このクルマを自分たちなりの名前で呼んできた。
この記事では、30〜50代のクルマ好きの心に火をつけるべく、 フォルクスワーゲンという車の“呼び名”に宿る文化、歴史、トリビア、そしてちょっぴりエモい記憶たちをたどっていく。
🇩🇪 ドイツ:「フォルクスヴァーゲン」=機能美と信頼の源
本国ドイツでは“フォルクスヴァーゲン(Volkswagen)”としっかりと発音され、 ✔ そこには「国家プロジェクトとしての誇り」が宿っている。
🧠 トリビア①:「フォルクスワーゲン」はヒトラー命令で誕生した?
1930年代、アドルフ・ヒトラーの「庶民のための車を作れ」という要請に応じて、フェルディナント・ポルシェ博士が開発したのが後の“ビートル”。
✔ 戦後は「復興の象徴」として生まれ変わり、ドイツ国民の生活に寄り添う名車となった。
Käfer(ケーファー)=ドイツ語で“カブトムシ”の愛称で呼ばれる、初代ビートル
🇺🇸 アメリカ:「VW」=自由の象徴、サブカルの魂
アメリカでは“Volkswagen”は“VW(ヴィーダブリュー)”と略されるのが一般的。
✔ 特に1960〜70年代のヒッピーカルチャーにおいて、「タイプ2(マイクロバス)」は“自由の象徴”として熱狂的に愛された。
🧠 トリビア②:“ヒッピー・バス”と呼ばれたワーゲンバス
ウッドストック世代やバンライフの原点として、VWバスは「人生を運ぶ車」として語られた。
“VW is not just a car. It’s a movement.”(VWは車じゃない。ムーブメントだ)
🇲🇽 メキシコ:「ボチョ(Vocho)」=庶民の英雄
メキシコでは、フォルクスワーゲン・ビートルのことを“ボチョ(Vocho)”と呼ぶ。
✔ 1970〜2003年まで、メキシコで現地生産されたビートルは“国民車”として愛され、 ✔ タクシーやファミリーカーとして長らく活躍。
🧠 トリビア③:最後のクラシック・ビートルはメキシコ産
2003年、最終モデルが“Última Edición(ウルティマ・エディション)”として限定発売。 これは全世界のビートルファンの涙を誘った。
「ボチョは家族だった」——そんな声がいまも残る。
🇯🇵 日本:「ワーゲン」=“ちょっと背伸びした輸入車”
日本では、“フォルクスワーゲン”という正式名よりも、「ワーゲン」という略称が一般的に使われてきた。
✔ 昭和〜平成初期にかけて、ゴルフやパサートが“輸入車の中でも親しみやすい存在”として認知されていたため ✔ “ワーゲンに乗ってる”=“おしゃれでちょっといい生活”の象徴
🧠 トリビア④:「ゴルフ」がファミリーカーとして浸透した日本
1970年代後半〜1980年代にかけて、フォルクスワーゲン・ゴルフは“実用車の王道”として、 スバルやホンダと肩を並べるほどの人気に。
“ワーゲンって、ちょっと粋だった。”
🇨🇳 中国:「大众(ダーツォン)」=“みんなの車”
中国では、フォルクスワーゲンは「大众汽车(ダーツォン・チーチャー)」、略して「大众(ダーツォン)」と呼ばれる。
✔ 意味は「大衆=Volks」そのまま。これほど美しい翻訳があるだろうか? ✔ 中国最大の自動車ブランド「上汽大众」でもお馴染み。
🧠 トリビア⑤:中国では“人民のための信頼車”
中国でのVWは、トヨタやホンダと並んで信頼度の高いブランド。 実際に、中国における“社用車ランキング”では常に上位。
「大众开得稳」=“VWは安定していて信頼できる”
🌍 世界のユニークな呼び名
国・地域 | 呼び名・ニックネーム | 意味・背景 |
---|---|---|
🇧🇷 ブラジル | Fusca(フスカ) | ポルトガル語で“カブトムシ” |
🇮🇩 インドネシア | Kodok(コドック) | “カエル”という意味 |
🇹🇷 トルコ | Kaplumbağa(カプルンバー) | “カメ”。形からの連想 |
🇷🇺 ロシア | Жук(ジューク) | “虫”の意味。ビートルを指す |
🇪🇬 エジプト | خنفساء(Khanfasa) | “フンコロガシ”と訳されることも |
✔ どの国でも「ビートル=虫」を連想して愛称にしているのが面白い。 ✔ 世界でここまで多様に愛され、あだ名を持つクルマは他にない。
🧠 呼び名に込められた、それぞれの“想い”
- 🇩🇪:「信頼・質実剛健・復興の象徴」
- 🇺🇸:「自由・カウンターカルチャー・家族」
- 🇲🇽:「日常・生活・友情」
- 🇯🇵:「背伸び・センス・都市的生活」
- 🇨🇳:「実用・信頼・国家の足」
- 🌍:「虫たちの名で呼ばれる、親しみの存在」
✔ 呼び名はただのラベルではない。 ✔ それは「その国がフォルクスワーゲンに求めたもの」そのもの。
🏁 エピローグ:名前は違えど、どこでも愛された“あの車”
Vocho。 Fusca。 Käfer。 ゴルフ。 VW。
呼び方は違っても、共通しているのは——
✔ いつも“生活の隣”にいたということ。 ✔ 誰かの“初めてのマイカー”だったこと。 ✔ そして、時に“家族以上の相棒”だったこと。
フォルクスワーゲンとは、 世界中の“記憶”を走ったクルマ。
あなたはこのクルマを、何と呼んでいましたか?
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